この記事では、ドラゴンクエストの戦士ライアンが愛用するピンク鎧がかなり高額な件についてまとめています。
ライアンはドラクエ界のファッションリーダーです。様々な鎧がある中でピンク色の鎧を着こなしています。相方には青色のホイミンを連れて色合いのバランスもグットです。私もライアンと同じおじさんのためファッションの参考にしたいです。
しかし、この「ピンク鎧」は高額で私が手を出せる代物ではございませんでした。
ピンク鎧の素材
初めにピンク鎧の素材が何かによって防御力や金額が決まる。
◆何かの素材+ピンク塗装
ピンクメッキや塗料で表面処理することで皮、銅、銀、鋼の鎧など王道の防具をピンク色に加工できる。しかし、この場合は敵との攻防によりピンク色が剥がれて元の素材の色が剥き出しになる。これでは本当のピンク鎧にはならない。そのため、本記事では素材自体がピンクであることを優先する。
◆素材自体がピンク
表面処理が不可の場合は素材自体がピンクであればよい。そのような素材は、「ピンクゴールド」や「宝石類」がある。
・ピンクゴールド
まず、ピンクゴールドは金に銅を混ぜた合金となる。銅が混ざることで硬度も上がり、鎧としての加工性や防御力も向上する。金属類のため、これまでの鎧との比較ができることから素材の適正を考えやすいのもブログ的に良い。
・宝石類
宝石類は、ピンク色を有するダイヤモンド、サファイヤ、ガーネットなどが候補となる。これらは、その透明性によりライアンの乳首が丸見えになることが問題だ。その場合は、加工前の原石を使うことや肌着の着用を推奨する。
他にも投影でピンクに見せる等の手段はあるが、やはり、鎧として素材自体で勝負したい。さらに、現実のドラゴンクエストにありうる鎧であることも重要だ。実際にドラゴンクエスト内では「ゴールドメイル」が存在している。おそらくライアンは特注でピンクゴールドメイルとしているのだろう。流石ファッションリーダーである。
これらを加味して、ライアンのピンク鎧の素材は「ピンクゴールド」としてこの記事では考察する。
ピンク鎧の組成
ピンク鎧の素材が「ピンクゴールド」としたことから防御力を考察することができる。まずはピンクゴールドの組成に関して理解する必要がある
◆カラーゴールド
金(以下Au)を主成分として重量比で銅(以下Cu)が10~30%を含むことで金色に赤味が付与されてピンク色になる。今回はピンクだが、Cu以外の素材で他の色も作れる。実際には、色の調整のためにAgやNi、Pdを添加している。装飾品としてAuの比率が高い方が価値があるとされるため18金(Au75%)がカラーゴールドでは多いそうだ。
◆適正比率
公開特許(特開2001-335861:装飾品用金合金)では、この添加物が金属アレルギーを引き起こすとしてMnを添加する手法が編み出されている。この特許の例を見ると、金75%、銅20%で濃いピンク色になり、残りその他成分5%で色調を調整できそうだ。合金による色に関してはWikipediaのカラーゴールド、金-銀-銅三元合金の色相図が分かりやすい。 この相図を見てもAu:Cu:Ag=7:2:1くらいで赤白い領域になるだろう。
つまり、ピンクゴールドの組成はAuは75%以上で残りの25%をCuとその他成分となる。後の計算上で楽したいのでこのブログではAu80%のCu20%とさせて頂きたい。
ピンク鎧の防御力
防御力を考える上で金属の物性、特に硬度が重要な因子である。
◆硬度について
固体は力に対して変形が開始するまでエネルギーを蓄えられる。その度合いが硬度で示される。言い換えると、剣などの衝撃で鎧が変形や破断をすると体を守れないことから鎧が壊れるまでの耐久性を硬度で示すことができる。
例えば、A硬さ30、B硬さ20の剣を同じ力25でぶつけあったときには硬さの低いBが変形する。
同じ力の人同士が戦った場合には装備の差がでるというRPGの鉄則が現実にもあるのだ。
◆ピンクゴールドの硬度
では、ピンクゴールドの硬度は如何という話になる。実は、主成分Auの硬度はとても低い。そこに、Cuが混ざることで硬度は上がる。
理由は金属はきれいな元素配列をしている状態のため一度変形が入るとその伸展は容易い。 その配列の中に別の金属が少し入るとその伸展を妨げ変形しづらくなる。つまり、硬度が高くなるということだ。
一方で、この合金の硬度データが私の簡易調査では見つからなった。
理由としてAu-Cu合金の工業的用途が少ないため情報も少ないかと思っている。三菱マテリアルによるAuSn合金の硬度表はあった。平衡状態図もあるので参考になる。 こちらをみると、20%のSnで硬度がAu単体の5倍になる。 SnとCuを比較するとCuの方が硬いため、Au80%Cu20%系の硬度の場合はAuSn系よりもあがると考えられる。
つまり、ただのゴールドメイルよりも、ライアンのピンクゴールドメインの方が5倍以上硬いためより防御力が高いと判断できる。
ピンク鎧の耐性
鎧は決して防御力だけで判断してはならない。耐性などの付加ステータスの存在も重要である。そこで、合金の耐性を主成分であるAuから予測して考察した。
◆プラスの耐性
・ディン耐性
Auは電気の導電性が非常に高い。電子部品に採用される程である。そのため、ディン系の魔法を受けると鎧をつたって地面に放電される。Cuも同様の性質のため合金しても変わらず耐性を持てる。
・バギ耐性
Auは酸化せずに化学的な安定性が高い。そのため風化はせずに採掘される。一方で、Cuは酸化しやすいため合金すると酸化しやすくなるので注意が必要だ。それでも他の金属よりも有利であるのは間違いない。
・ギラ耐性
金属光沢による反射が可能である。一方でギラに関しては別記事で説明しているが地面に放射する手法が使用されると熱によるダメージは受けることになる。
◆マイナスの耐性
・毒耐性
Au単体は安定だが、金イオン自体は毒性が非常に強い。かなりの劇物である。もしイオン化された場合には危険である。その他の金属の方がイオン化しやすくアレルギーを引き起こしやすい。そのため比較するとAuの方が十分に良い耐性がある。
・メラ耐性
Auは熱伝導率が非常に高い。そのため、メラのような熱は鎧を通じて皮膚まで到達しやすくなる。一方で、鎧内で温度がこもらないのは良い点だ。
つまり、他の金属よりもAuは魔法耐性が高いということになる。合金により硬さも得たピンクゴールド鎧は銅の鎧や鉄の鎧、ゴールドメイルを超える非常に優秀な鎧であると判断する。
ピンク鎧の金額
これまでピンクゴールド鎧は他の鎧と比較して優秀であることを示した。しかし、優秀な鎧は金額が高いというドラクエの鉄則がある。そのため、ピンクゴールド鎧の金額を試算してみる。 試算方法は鎧への素材使用量とする。
まず、鉄(以下、Fe)の鎧をプレートアーマーとして比較しながら試算する。
プレートアーマーの重さはWikiによると、
鉄の鎧 30kg
となる。
次に、比重を求める。Auの比重を19.3,Cuを8.5とし 金80%,銅20%のピンクゴールドを素材にしたときの 合金の比重を計算する。
Au 19.3
Cu 8.5
Au80%Cu20% 17.14
さらに、鉄の比重と鉄の鎧の重さからピンクゴールドの鎧の重さを計算する。
Fe 7.8
ピンクゴールドの鎧 66kg
そして、各素材の相場価格からピンクゴールドの鎧の原材料費を求める。
Au 5250円/kg
Cu 720円/kg
Fe 18円/kg
Au80%Cu20% 4345円/kg
ピンクゴールドの鎧 286880円/66kg
つまり、鉄のプレートアーマーと比較してピンクゴールド(金80%,銅20%)の鎧では原材料費自体で286770円必要となる。
実際には66kgの鎧は重いので、基準である鉄の鎧の重さ30kgにするにはピンクゴールドの使用を50%もカットしなければならない。 確かにライアンを見ると、フルプレート型の鎧では無く、ピンクゴールドを使用している箇所は頭部、胸当て、腰巻、足である。 他の素材も見受けられるので50%カットを実施している可能性が高い。
それでも、130350円/30kgの原材料費になる。
単純に鉄のよろいではなくピンクゴールドの鎧とするだけで原材料費が300倍かかってしまう。この金額に似合うほどの価値は魔法耐性にあるのだろう。 ドラクエの世界でないと成立しない現実性だ。
まとめ
本記事をまとめます。
ライアンのピンク鎧は
・素材はピンクゴールド
・ゴールドメイルの5倍の硬さをもつ
・耐性が高い
・130350円/30kgの原材料費
・鉄の鎧の300倍の原材料費
である。
鉄の鎧などと比較して十分な鎧の性能を持つ反面、費用としては原材料費だけでも13万円する。実際の鎧にするには加工費が足される。さらに、お店の利益分、消費税をのせるととてつもない価格になる。ドラクエ4の鉄の鎧は1200円で販売されているのでこれら諸経費を含めると36万円の販売価格となる。全身をユニクロで決める私にとっては到底手が出せる代物ではない。
やはり、ライアンはファッションリーダーである。
しかし、ライアンの初期装備は「どうのつるぎ」と「かわのよろい」である。もしかすると、皮の鎧にピンク塗装を自分でやっているのが現実かもしれない。だって彼は王国に仕える一般兵、つまり、私と同じサラリーマンだからだ。
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